差別化のヒントが詰まった遊漁船:「エンス」さんに学ぶ経営の工夫 (京都府舞鶴市) 中深海ジギング 2025年4月9日(水)

久しぶりに、舞鶴の遊漁船「エンス」さんにお世話になることにしました。
この船は、遊漁船の経営を考えるうえで非常に参考になる存在です。
差別化の難しさと「エンス」の特徴
遊漁船の多くは、同じ時期に同じ釣り物を扱い、乗船料も大差がないため、差別化が非常に難しい業態です。
その中で選ばれる理由のひとつは、船長の丁寧さ・優しさ・コミュニケーション力といった「人となり」による部分です。
また、ネット予約の利便性など、IT面での取り組みも利用者にとって大きな選定ポイントになります。
「エンス」さんは、それらに加えて独自の切り口で差別化を図っています。
中深海のアラや、丹後のイサキ・カワハギなど、新たな釣り物の開拓に積極的で、これは「エンス」独自の世界観を作り出す大きな要因となっています。
結果として、それが安定した集客にもつながっているのです。
乗船当日の流れと配慮
今回は中深海のアラなど、美味しい魚を狙って出船しました。
集合場所は「エンス」の船着場前で、荷物を下ろした後、近くの駐車場へ車を移動します。
乗船前には乗船名簿への記入があり、その後、全員に向けた船長のブリーフィングがあります。
また、氷は船長がクーラーに入れてくれますが、帰港後に欲しい場合は、その前に伝えておく必要があります。
この日のブリーフィングでは、「タラは釣れていないので今日は狙わない」ことや、当日の全体的な流れなどが丁寧に説明されました。
このようなブリーフィングは、釣り人との信頼関係の構築にもなりますし、釣果にも大きく影響します。
初めて遊漁船に乗る方や久しぶりの方も多いため、どの船でも積極的に取り入れてほしい取り組みです。
常連の方の中には「説明は不要」と感じる方もいるかもしれませんが、私はこの時間を非常に大切なものと考えています。
釣り座の決め方とその工夫
釣り座はくじ引きで決まります。番号がその場で明示されるので、公平性が高く安心です。
あみだくじでは「本当にその順番になっているのか」と疑念を抱かれることもありますし、じゃんけんは時間がかかるため、くじ引きがもっとも合理的だと感じます。
船長の観察力とアドバイスの重要性
この日は、ユメカサゴ、沖メバル、タヌキメバルなど、美味しい魚がよく釣れました。
とくに印象的だったのは、船長の観察力とアドバイス力です。
私が根掛かりに苦戦している様子を見て、的確なアドバイスをいただきました。
船長からの助言というのは、実は非常に繊細なコミュニケーションです。
ベテランの方の中には、アドバイスされること自体を快く思わない方もおり、ときにそのような方がネガティブな口コミを投稿することもあります。
ですが、海の上では船長の判断が最優先です。釣り人側にも、謙虚に耳を傾ける姿勢が求められます。
最後に:釣果以上の学び
今回はアラは釣れませんでしたが、船長からのアドバイスによって自分が少し成長できた実感があります。 釣果に限らず、こうした体験や学びこそが遊漁船に乗る価値の一つだと思います。